1. 語・句・節の説明

英文は、語・句・節から成立っている. 先ずは、語・句・節とは何かをしっかりと押さえて、英文をかたまりで読み取れるための練習として、以下のサンプルパラグラフを用いながら、語・句・節について考えて見たい。

 

サンプルパラグラフ
@ Andry works for Nippon company. A He is a diligent employee and likes his job.
B 10 days ago, Tony, Andry’s direct boss, gave him the assignment to make a report on last month’s performance of the sales division. C Tony knew that it would be a bit difficult for him to do that. D But this is something that every sales representative has to go through when young. E Although Andry found it troublesome to do that, he managed to make the report after a fashion last night. F Today he is to give a presentation of the report in front of everyonein in the sales division at 10 am. G Surprisingly, other employees at the division have found him missing today. H Tony is wondering what happened to him, thinking that it might be a great burden on him.

語・句注釈:
*B the assignment to make a report on last month’s performance of the sales division の部分. to make・・ 以下は assignment を修飾する to不定詞の形容詞用法で「先月の営業部門の成績に関して報告書を作成するという任務(課題)」の意 *C a bit = 形容詞 difficult に掛かる副詞、「ちょっと、すこしばかり」の意. when young は、when ( every sales representative is ) young と解する. sales representative は sales personと同義語で、所謂「セールスマン」だが米では sales representative がつかわれることが多い. *E Andry found it troublesome to do that は第5型式の文で、it は形式目的語で、後のto do that を受ける代名詞. after a fashion「どうにかこうにか」の意. *F S + be + to = 「Sが〜する事になっている」の予定・運命を表す語法. *H thinking that・・は、付帯状況を表す分詞構文. it = the assignment.

 

訳文
「@ アンドリーは日本株式会社で働いている. A 彼はまじめな社員で、仕事が好きである。B 10日前に、アンドリーの直属の上司であるトニーは、アンドリーに営業部門の先月の業績についてレポートを作成する任務を任せた。C トニーは、アンドリーにとってはこの仕事はちょっとむつかしいだろうかな、とは分かっていた。D しかし、この仕事はセールスマンであれば若いうちに通らなくてはならない仕事なのである。E アンドリーは報告書の作成は厄介なものと感じていたが、昨夜何とか終えることが出来た。F 今日、彼は午前10時に営業部門の皆の前で報告書の発表をする事になっている。G 驚いたことに、同部門の社員たちは今日はアンドリーの行方が分からなくなっていることに気付いた。H トニーは、彼に何が起こったのだろうかと思うと同時に、この仕事は彼にとっては重荷になっていたかも知れないと思っているのである。」

 

@ 語・句・節の説明

 

: 1つ1つの個別の単語
例文中の Andry という人の名前や固有名詞、company や employee, division などの一般名詞、work, be 動詞のis, found(findの過去形)等の動詞、diligent, difficult 等の形容詞、 actually, surprisingly などの副詞、それぞれ1つ1つの単語のこと.

 

: 複数の語のかたまりで文中では名詞か形容詞か副詞のいずれかの働きをするかたまり
句は名詞句、形容詞句、副詞句の3つがある. 文中で名詞と同じ働きをしているものは名詞句形容詞と同じ働きをしているものは形容詞句副詞と同じ働きをしているものは副詞句となる.
サンプルパラグラフを通して、各文中の句に関するものを、それぞれ名詞句・形容詞句・副詞句に分けて行く.
@ for Nippon company は、場所を表す副詞句で be 動詞を修飾(be 動詞に掛かる)する.
A 厳密に言えば、a diligent employeehis job も2語以上から成り立っているので句であり、これらは文中ではどちらも名詞の働きなので、名詞句となる.
B 10 days ago は、時を表す副詞句で動詞 gave を修飾する.  to make a report on last month’s performance of the sales division. 全体が、前の名詞 assignment を修飾する to不定詞形容詞用法の形容詞句. 細かく見ると、to make a repot が assighnment に掛かる形容詞句、on last month's performance は 前の名詞 report を修飾する形容詞句となる. 意味がきちんと取れるのであれば、このような場合は、1つ1つ分解しなくとも、to make 〜 the sales division 全体の大きなかたまりが形容詞句で、assignment を修飾する形容詞として解すれば良い.
E after a fasionlast night のどちらも 動詞 make (managed to make) に掛かる副詞句である. last night はここでは副詞句として働きで、例えば、前置詞を必要とせず one day や next month・・というふうに文が続くような場合には、名詞の形を留めながら副詞句として機能する. これを副詞的目的格という.
F in the sales division は、前の名詞 everyone を修飾する形容詞句、at 10 amは、動詞に掛かる時を表す副詞句.
G at the divisionが、前の名詞 employees に掛かる形容詞句.

 

: 複数の語のかたまりでその中に主語+述語動詞(S+V)を含んでいるもの
独立節: He goes out. にはS+Vが入っているので節である. これ自体で節として成立するので独立節という. また、1つの節 (主語と述語動詞:S+V) からなるものを単文という.
等位節: He goes out and (but) I stay at home .は、He goes out. と I stay at home .と2つの独立節が等位接続詞の and や but で結ばれることから、等位節という. また、このように等位接続詞によって、文法上、対等の関係で結ばれる節からなる文を重文という.
主節と従属節: 2つ以上の節から成る文で、一方の節が他方の節の構成要素や修飾要素になっている場合、中心となる節を主節、構成要素や修飾要素になっている節を従属節という. 従属節が長くなると一見文自体が複雑に見えるが、従属節は要は、@名詞のかたまりとなって主語・補語・目的語として働くかA形容詞的修飾語になっているかB副詞的修飾語になっているのかの3つのパターンのみであることを押さえておけば、混乱する事はない. なお、主節と従属節を含む分を複文という.
I hear that he goes out today.「私は、彼は今日出かけるものと聞いている。」
I hear が主節で、that 以下が従属節. that 以下は名詞節で、hear の目的語.
This is the house that he lives in. 「これは彼が住んでいる家だ。」
This is the house が主節で、that 以下が従属節. house が that 以下で修飾されている(彼が住んでいる家). that 以下は関係代名詞による形容詞節.
I came back while he was out. 「彼が外出中に、私は帰って来た。」
I came back が主節で、while 以下が従属節. while は接続詞で時に関する副詞節を導く.
従属節の種類: 従属節には名詞節、形容詞節、副詞節の3つがある. 文中で 名詞と同じ働きをするS+Vを含むかたまりが名詞節形容詞と同じ働きをするS+Vを含むかたまりが形容詞節副詞と同じ働きをするS+Vを含むかたまりが副詞節である. 文単位で見ると、節自体では1つの品詞と同じ働きの為、必ず従属節として主節にはたらき 文中では名詞か形容詞か副詞かのいずれかでのかたまりなので、文の中での1要素となるため、主節に働き掛けることになる.
1.名詞節: 複数の語のかたまりでその中にS+Vを含み、文中で名詞と同じ働きをするもの
名詞節は文中では名詞の働きなので、主語(S)か補語(C)か目的語(O)のいずれかになる.
サンプルパラグラフの CTony knew that it would be a bit difficult for him to do that. では、that は名詞節を導く従属接続詞としての働き. この名詞節が動詞knew(原形 know)の目的語になっている.
1-1) 名詞節が目的語になる場合
従属接続詞thatの導く名詞節(従属節)と主節の関係は以下になる.
Tony knew (主節)that it would be a bit difficult for him to do that(O(従属節)).
1-2) 名詞節が補語になる場合
The problem (S) is (V) that we have to finish the project by tomorrow(C).
that 以下が従属節.
「問題なのは、明日までにこのプロジェクトを完遂させねばならい、ことである。」
1-3) 名詞節が主語になる場合
That he is going to the U.S.(S) is (V) certain(C).
「彼がアメリカに行くのは、確かなことである。」
文法的には正しいが、文頭に長い主語を持ってくることはあまり好まれず、通常はthat節を受ける形式主語の it を文頭に持って来て、It (S) is (V) certain (C) that he is going to the U.S. .とする場合が多い.
1-4) 間接疑問による名詞節の場合
when, where, how など疑問詞や if を使用する間接疑問の形で名詞節となる場合がある.
I (S) don’t know (V) when will come back(O). 目的語
「私は彼がいつ帰って来るのか分かりません。」
I (S) don’t know (V) if (whether) he comes back on time(O). 目的語
「私は彼が時間通りに帰ってくるのかどうか分かりません。」
The question (S) is (V) whether he comes back or not(C). 補語
「問題は彼が帰って来るかどうかだ。」
2. 形容詞節: 複数の語のかたまりでその中に S+V を含み、文中で形容詞と同じ働きをするもの
形容詞節は文中では形容詞の働きになるので、名詞を修飾する. 例文中のD But this is something that every sales representative has to go through when young. では、・・something that every sales representative has to go through・・の部分で、something が that に導かれる節によって後ろから補足説明され修飾されている(関係代名詞の限定用法). いわゆる後置修飾(修飾語が被修飾語の後に置ける)の1つの形態で、この that はいわゆる関係代名詞の that である. 関係代名詞 that は@前の名詞 something に置き換わる代名詞としての働き、A節を導き先行する名詞に繋げる接続詞としての働きを持つ. something のように、関係代名詞が導く節に修飾される名詞を先行詞という.
2-1) 関係代名詞の例文
This is the best restaurant that I want to take them to.
「これが、私が彼らを連れて行きたいと思っている一番のレストランだ。」
that 以下の形容詞節が、主節の補語で名詞 restaurant (先行詞)を修飾する形.
The iPhone that you lost yesterday is now here!
「あなたが失くしたiPhoneはここにあるよ!」
主節の主語に掛かる形容詞節. 節中では lost の目的語.
2-2) 関係副詞の例文
関係代名詞と同じ働きをするものに、関係副詞というものがある. 関係代名詞では先行詞が人や物や事と記した. 関係副詞の先行詞は、時・場所・理由・方法であり、when, where, why, how が相当する. 解釈の仕方は関係代名詞と全く同じで良い.
You should tell us the reason why she has to show her identity card.
「あなたは、何故彼女が身分証明書を見せなければならないかの理由を言うべきである。」
あなたは理由を言わなくてはならないのだが、どういう理由かをwhyを使った語で後置修飾して説明している. 考え方は、関係代名詞と同じである. reason が先行詞で、@ why が reason を受ける代名詞として働き、A節を導き先行詞へ繋げる接続詞、つまり形容詞節を作る働きをする.
This is the place where you helped me.
「ここがあなたが私を助けてくれた場所です」
場所を表す place を受ける代名詞は whereで、上記と同じく where は節を導き先行詞に place を修飾する関係副詞の役割.
基本的に形容詞節は関係代名詞と関係副詞によって導かれる.
the reason, the place が省略され、You should tell us why she has to show her identity card. This is where you helped me.となる場合も多い. この場合は、関係副詞ではなくて、間接疑問と同じ形態となる事に注意. 関係副詞を使用すれば目的語はあくまでも名詞でそこに why, wher eによって導かれる節が形容詞節となり先行詞を修飾する. 一方で、the reason, the place が無く、直接 why, where が続くと間接疑問の形で、動詞の目的語となると同時に why, where 以下は名詞節となる. 意味は全く同じものであるが、文法構造を問われる場合にはきちんと答える事が出来るようにしておきたい.
3. 副詞節: 複数の語のかたまりでその中にS+Vを含み、文中で副詞と同じ働きをするもの
副詞節は文中で副詞の働きをするかたまりなので、主に主節の動詞を中心に主節全体を修飾したりする. 時・場所・理由・原因・目的・結果・条件など表す内容に応じて多くの接続詞(従属接続詞)が使われる. 例文中のE Although Andry found it troublesome to do it, he managed to make the report after a fashion last night. を見てみる. Although Andry found it troublesome to do it の部分が副詞節で、主節の述部 managed to make を修飾している.
Although Andry found it troublesome to do it, he managed to make the report・・.
3-1) 理由・原因を表す接続詞に導かれる副詞節
Because the boss is a man of integrity, we do whatever he says. 主節の前に副詞節が置かれる場合はコンマをつける.
「上司は正に誠実な人なので、私たちは彼の言う事ならなんでもする。」 *whatever = 先行詞を含む関係代名詞 what に ever がついた形で、複合関係代名詞と呼ばれる. 意味は、anything that に相当し、「〜するものは何でも」の意を表す. 主節の前に副詞節が置かれる場合はコンマをつける. 主節を前に持って来て、We never cut corners because the boss is very strict. としても同じ.
3-2) 時・条件を表す接続詞に導かれる副詞節
We will talk about it when he comes.
「彼が来たら、(私たちは)それを話し合おう。」
I will stay at home if it rains tomorrow.
「もし明日雨がふれば、私は家にいる。」
主節は will で未来形になっているが、副詞節内では三単現のsがついている. 時・条件を表す副詞節のなかでは、その条件が未来のことを述べていても、動詞の時制は現在形を使う.